宗教について 〜 人の生と死を考える 注105

公開: 2023年4月3日

更新: 2023年4月29日

注105. カルト

現在のフランスの法律では、特定の宗教を唱えている人々の集団でも、その集団の活動が、通常の市民活動で許される範囲を超えて、違法とされる行為を行おうとしている場合や、行った場合、その集団を「カルト」と見なし、その集団の構成メンバーによる行為を、刑罰の対象とします。例えば、特定の条件で、殺人的な行為を厭わない人々の活動などです。イスラム教を信じている人々が多い国からの移民を受け入れているフランスでは、従来のフランス社会では受け入れられていた、服装と宗教を切り離す制度も、イスラム教の教えに反する場合があり、フランスの法律に従うと、イスラム教の教えに反することになります。

例えば、「女性は人前で髪の毛を見せてはならない」とするコーランの教えに従う女性は、家から外出するとき、髪の毛を隠すベールのようなものを身につけます。学校などでそのような宗教を表現する行為を禁じたフランス憲法に照らし合わせると、この行為は法律違反となります。この法律を厳格に守ろうとすると、イスラム教徒の女子生徒は、逮捕されることになります。このような文化の違いから、イスラム教徒のフランス人と、それ以外の宗教を信じるフランス人の間に、しばしば軋轢が発生します。このような問題が数多く発生すると、数が少ないイスラム教徒の一部が過激になり、社会問題を起こすことがあります。

例えば、一部のキリスト教徒が、イスラム教の教祖であるムハンマドを風刺した絵画を描いたため、それを恨んだイスラム教徒の一部の人々が、その絵を描いたキリスト教徒を襲うなどです。このような暴力的な行為は、法律で許されないため、フランス国内では違法行為となります。そのような行為を許す団体は、フランスでは、「カルト」と呼ばれ、法規制の対象となるのです。

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